天皇賞(秋)全頭評価

天皇賞(秋) 全頭評価 競馬予想
天皇賞(秋) 全頭評価
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2022年10月30日に東京芝2000メートルで開催される天皇賞(秋)に登録されている全頭を評価していく。

予想は以下のリンクからどうぞ。

東京芝2000というと根幹超主流レースと思いきや、天皇賞(秋)は隠れ反主流レース。基礎能力の高い馬がエントリーする事が多いため、とんでもない穴は開かないが、人気通りに収まるケースも少ない。

意外なことにディープインパクト自身は天皇賞(秋)どころか東京芝2000を走ったことがなく、天皇賞(秋)でのディープインパクト産駒の勝利もスピルバーグの僅か1鞍のみ。スピルバーグは母系にサドラーズウェルズを持つ反主流ディープインパクト産駒。

一方で超主流血統であるにもかかわらず、母系に米国色の強いストームキャットを持つディープインパクト産駒にとっては鬼門のレースで、20年はダノンキングリー、15年はエイシンヒカリが人気サイドで大敗。

マニアックな話をすると16年2着のリアルスティールは母父ストームキャットではあるが、ストームキャットは母系の特性を引き出しやすいため3代母ミエスクからヌレイエフの色を反映しているため欧州型に近い適正を持ち合わせている。

ディープインパクト産駒に関しては、母系に軽いスピード適正を持つダービー型より、フィエールマン、ダノンプレミアム、サングレーザー、ジェンティルドンナのようにノーザンダンサーの血を引くパワフルな反主流ディープの方が信頼できる。

ディープインパクト産駒が活躍しないという事は必然的に他の産駒が活躍している事になるが、昨年もエフフォーリアがコントレイルを上回った。それ以前の年でもアーモンドアイ、クロノジェネシス、レイデオロ、キセキ、サトノクラウン、モーリス、ラブリーデイ、エイシンフラッシュなど、欧州色の強い馬たちが顔を揃える。

なお、この時期の東京芝は雨が絡みやすく、Bコースに替わるからとて馬場が軽くならない可能性も考慮しておきたい。

アブレイズ

ムラ気質で走りどころがわからず非常に評価しづらい馬。前走の府中牝馬Sは、1着馬を除けば人気サイドが手堅く走っており、着順以上に好走したと評価して良いが、アブレイズの連対は新馬戦を除くと1800のみ。牝馬はキレ味型を出しやすいとは言っても非根幹で好走しやすいキズナ産駒で、54キロから56キロへの斤量増もいただけない。

イクイノックス

東スポ2歳Sから中20週という異例のローテで皐月賞に挑んだ過去のある馬にとって、前走の日本ダービーは間隔が詰まる中で大外枠という枠順不利を跳ね除けての2着。見事と評さざるを得ない。秋天に向けては9月30日にノーザンファーム天栄から帰厩。皐月賞とほぼ同じレース間隔。レースを使って良くなる馬、休ませて成長を促す馬、様々なタイプがいる中でイクイノックスは後者。ローテ◎という評価で良いだろう。さて、血統についてまだ何も触れていないが、父キタサンブラックは、GⅠ勝鞍のうち逃げ切り勝ちが3勝というやや特殊な戦績を持っているが、過去の逃げ切り勝ちGⅠ馬で産駒が連対したことのある種牡馬は一頭もおらず、キタサンブラック産駒のイクイノックスが逃げ切り系GⅠ馬産駒初のGⅠ連対馬という事になる。メジロマックイーンも母の父に入ってようやくオルフェーヴル兄弟やゴールドシップを出しているレベルの事実ではあるので異例と言って良い。また、通常、大型馬はスピード負けする産駒を出しやすく、大柄な馬よりは小柄な馬の方が重宝される日本の競走馬生産界において、大柄な種牡馬が初年度産駒からGⅠ連対馬を出しているというのも異例。父仔揃って異例ずくめのイクイノックスではあるが、念願のGⅠ戴冠に大きな期待がかかる。

カデナ

4年連続5回目の秋天。甲子園で言うところの常連校である。ディープインパクト産駒にも色々なタイプが存在するが、中央場所のGⅠで通用しない代わりに、ローカル開催のGⅢで何度も穴を開けるタイプがいて、カデナもそのタイプ。中央場所で通用しないことからローカルに回っても人気を背負いづらいというカラクリではあるが、最近はダートも試されたりと、馬齢を考慮しての事か色々な試行錯誤が繰り返されている様子。愛すべき小倉マイスターという言葉で評価を締め括る。

カラテ

GⅡまでは大崩れしていないがGⅠではその壁に跳ね返されている。残念なことに展開でどうにかなるレベルでもなく完敗。父のトゥザグローリーはもっと長いところを主戦場にしていた馬で、牝系もステイゴールドやショウナンパンドラなどを排出しているゴールデンサッシュの牝系でマイルのイメージは薄い。なまじ馬格があるのでマイル路線を歩んでいたのだろうが、前走でマイルから2000に伸ばした事が功を奏している。今回も2000メートル戦。ただし、前述したようにGⅠの壁に明確に跳ね返されている過去は看過できない。

ジオグリフ

父ドレフォンはストームキャットにヴァイスリージェント・ヴァイスリーガルの全兄弟クロスを持ち、現役時代は北米ダート短距離GⅠで4勝。仕上がりの早さとスピードの持続力がセールスポイント。母母ナスカの半兄インティライミは2000〜2400付近で活躍していた馬。つまり、母系から距離的性を補うような配合。とは言え父ドレフォンは短距離馬なので距離の壁はある。その観点では、前走ダービーからの距離短縮は歓迎材料。前走が距離適正外の2400だっただけに何とも言えないが、レコード決着のダービーで人気より負けており、2ハロン短縮のローテは良いとしても、逃げ馬多数で高速決着になりそうなレースにおいて、母系から速さではなく距離を補っているジオグリフの場合、時計への対応が鍵。手術なしではあるが骨折明けというのも気掛かりではある。ちなみに、ノーザンファーム天栄からの帰厩は9月28日。

ジャックドール

父モーリスはロベルト×サドラーズウェルズ×メジロ牝系というかなり重厚な血統。ジャックドールは母父のアンブライドルズソングから米国式の軽さを補っている。馬場状態は別としても、3走前の金鯱賞で逃げて上位の上がりを使ってレコード勝ちを収めているあたり、東京で時計勝負になっても対応可能だろう。前走で逃げ一辺倒ではなく控えて勝った価値は大きいが、ポジネガどちらの面も持ち合わせている。秋天に限らず東京では差してくるタイプの馬が多いため、控えた場合、他馬との横の関係次第といったところだろう。

シャフリヤール

ディープインパクト産駒の王道で母系から米国的な軽さや速さを引き出しているタイプ。兄のアルアインは馬格があるため軽さやキレは薄いが、弟のシャフリヤールはサイズ感も相まって軽さやキレが武器。ダービーでレコード勝ちできるというのはそういうことである。前走は日本競馬とは似ても似つかないイギリス競馬での敗戦なので度外視可能。反動が気になるところではあるが、不良馬場の神戸新聞杯の後のジャパンカップで大きな影響がなかったため反動不安は小さいだろう。ただし、キレ味がセールスポイントのディープインパクト産駒にとって鬼門のレースが秋天。同じくキレ味が武器のコントレイルは昨年エフフォーリアに敗戦。そのコントレイルには不利があったにせよジャパンカップで完敗。この辺りをどう見るか。ジャパンカップで1世代下のドウデュースとの新旧ダービー馬対決の方が、単純に見たいというのもあるが、シャフリヤールにとっては適性ど真ん中のレースのような気がする。

ダノンベルーガ

ダノン史上最高傑作などと評される馬だが、大雑把にはドウデュースと同型で、ハーツクライの絶対的なスピード能力や追走力を米国式の速さを詰め込む事で補うタイプの配合。稍重発表の共同通信杯で33秒台の上がりで圧勝。ダービーへの直行も視野にあった皐月賞では初の右回り&叩きのレースで伸びない内を通して負けて強しの4着。ダービーは意欲的な調整が裏目に出たのか人気を裏切る形に。そして今回。8月27日にノーザンファームしがらきから次走未定のまま帰厩。秋天への参戦は9月25日に発表。同世代のライバルであるイクイノックスやジオグリフは9月末帰厩であることや、10日競馬という言葉もある近代日本競馬においてレースの2か月前に帰厩というのはちょっと早い。皐月賞の時のように調教師が手元において状態を見極めたかったのだろう。無事これ名馬。才能だけでは走れないのも競馬。体調万全での出走を願うのみ。体調以外の不安要素は逃げ馬多数&ダービーからの2ハロン短縮で追走ペースが極端に速くなる点。ハーツクライ産駒は一般的にペースアップ耐性が低い。体調次第としつつも秋天で速い流れを経験した次走が狙いどころのようにも感じる。

ノースブリッジ

勝ち負けまでは別としても極端に過小評価されている一頭。実績は確かに見劣るが、同型のモーリス産駒ジャックドールが推定上位人気でこちらは…。時計への裏付けはないが、前走は出遅れて本来の競馬ができていないという事もあり、本当に時計に対応できないのかは実のことろ不明。前走もレコード決着の中上がり2位の脚は使っており、同型多数の今回はモーリス産駒らしいスタミナを活かせる舞台になる可能性もある。見限るのは早計。レース展開を鑑みると穴を開けるならこういうタイプ。

バビット

浅屈腱炎による長期休養を挟んだが、休養前はパンサラッサを5馬身千切った馬でもある。前走は1年7か月ぶりの復帰戦で掲示板確保は悪くない結果。むしろ立派。ではあるのだが…、復帰2戦目で斤量2キロ増でメンバー強化のGⅠというのはさすがに厳しいか。常識的に考えて楽なレースにはならない。ナカヤマフェスタ産駒は良より稍重、東京より中山というタイプでもあり、JRA現役屈指のファンタジスタのエスコートでどこまでカバーできるかといったところ。

パンサラッサ

モンジュー – サドラーズウェルズ × シャーリーハイツというかなり重厚な欧州型のロードカナロア産駒。圧倒的な逃げを母系のスタミナで底座さえしているタイプの馬。逃げ馬の宿命のようなもので同型がいると勝ちきれない。パンサラッサの場合はプラスアルファの事情もあり、速力はあるがゲートが遅いという欠点のような部分があり、同型が多いと出していくのにスタミナを消費する。つまり、最後ま粘り込めない懸念がある。同型多数の今回はスタートがうまく決まるかどうかが大きな鍵。

ポタジェ

前走の毎日王冠はトップハンデの58キロを背負っての前哨戦。同斤での出走は大きなメリット。直近のポタジェの好走パターンは、前哨戦で控える競馬 → 本番で積極的な競馬というパターンが多い。前走は小頭数というものあるが本来前に行く馬が出遅れたり、相対的に他の馬の方がポタジェの速力を下回っていたということもあり、押し出される形で比較的前での競馬になった。決して無理に出していったということはない。ということは今回は積極的に前に行く可能性を見出せる。前に行くのだとすれば、ヴァイスリージェント系ディープ産駒らしくスピードの持続力での勝負も可能。スローのヨーイドンになる可能性が非常に低いため、ポタジェに展開が向く可能性あり。非常に面白い存在。

マリアエレーナ

クロフネ × ディープインパクト × キングカメハメハ。牝系も3代母まで同一オーナーというリアルダービースタリオン。夢しかない。エリ女への参戦も視野にあったようだが2000にこだわりたいとの事で秋天参戦。クロフネ牝駒のソダシもホエールキャプチャもアエロリットもカレンチャンも長いところは使っておらず、クロフネ産駒全体の距離レンジもそう長くはない。上位馬との自力差はありそうだが果たして。

ユーバーレーベン

秋天を叩いてジャパンカップへ。陣営がジャパンカップが目標と公言しているからには、それ以上でもそれ以下でもないが、ゴールドシップにマイネル牝系だとスピード勝負への裏付けがない。しっかり叩いてジャパンカップへ駒を進めて欲しい。

レッドガラン

7歳馬にして初GⅠ、初の58キロを背負って大幅メンバー強化というのはさすがに厳しいか。札幌記念の結果からジャックドール、パンサラッサとも大きな自力差が浮き彫りになっており…。

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