凱旋門賞2022 海外馬の考察

凱旋門賞2022 海外馬の考察 凱旋門賞
凱旋門賞2022 海外馬の考察
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2022年凱旋門賞に9月23日時点の出走見込海外馬全20頭について考察する。(多い。どうせ回避するのに…。

最終予想、日本馬の考察、パリロンシャン競馬賞のコースガイドやレースの解説は別記事にまとめているので以下のリンクからどうぞ。

アダイヤー(牡4)

C.アップルビー厩舎管理馬(イギリス)
主な勝鞍、21年 イギリス・キングジョージⅥ&QES(GⅠ

父 フランケル
母父 ドバウィ

21年の英ダービー、KGⅥ&QESを制して欧州2冠を達成。その後の昨年の凱旋門賞は欧州3冠のかかる一戦で4着敗戦。雪辱を期した英チャンピオンステークスも5着敗戦。約1年の充電を経て条件戦から立ち上げ直して、現在、凱旋門賞と英チャンピオンズデーを両睨み状態。天候次第との事だが、バーイードの動向次第というのが真意だろう。

母父ドバウィも、その父ドバイミレニアムもゴドルフィンを代表する血脈。両馬の血を引くアダイヤーに対するモハメド殿下の熱意や思いは想像に難しくないが、本当にそのタイトルを手にしたかったのは、彼の種牡馬価値も加味すると状態不安を抱えながらも参戦した昨年だったというところか…。

復帰戦が3頭立ての条件戦のため、レースとしてではなく3頭併せの公開調教を馬なりで内から伸びてきたと評価すべきだろうが、血統背景からもフランス色はかなり濃く、昨年の不調を理由に軽視するのは早計。

アルハキーム(牡3)

JC.ルジェ厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、22年 フランス・ギヨームドルナノ賞(GⅡ)

父 シユーニ
母父 ガリレオ

前走のギヨームドルナノ賞で、抜け出した2着馬との長い叩き合いを制して勝ち鞍を収めたことにより、凱旋門賞参戦を視野に。ただし、ルジェ厩舎からはもっと強力な馬が参戦するためラビットとしての役回り濃厚と見るのが妥当か。

アルピニスタ(牡5)

M.プレスコット厩舎管理馬(イギリス)
主な勝鞍、22年 フランス・サンクルー大賞(GⅠ)

父 フランケル
母父 エルナンド

GⅠ5連勝中での参戦。ドイツ、イギリス、フランスの各コースで馬場状態不問で連勝中。

牝系のフランス色が強く、競馬の質が似ているドイツの競馬で(フランスの競馬でも)結果を出しているのは納得。

前走のヨークシャーオークスは、例年、スノーフォール・ラヴ・エネイブルといった最強牝馬と称されるような馬が出走するレースでもあるが、そこで勝ち鞍を収めたことは大きな価値があると言って良い。欧州競馬ってムチの使用回数制限なかった?というぐらい鞍上にゴリゴリに押されていたのはご愛嬌で。

勝ち負けも可能な1頭という評価。

ヴァデニ(牡3)

JC.ルジェ厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、22年 フランス・フランスダービー(GⅠ)

父 チャーチル
母父 モンズン

今年のフランスダービー勝ち馬。ロンシャンではなくシャンティイで開催されたレースではあるが、フランス調教のフランスダービー馬の凱旋門賞参戦は控えめに言って楽しみしかない。

父のチャーチルはオブライエン厩舎所属でアイルランドやイギリスで現役生活を送っていたが、母父のモンズンはドイツ馬で、直線の伸びを競うフランス的なレースへの対応は母父の辺りにルーツを持つと見る。

前走で敗れたルクセンブルクに対してはコースの利を得るだろうが、同2着のオネストに対してはリベンジマッチの機会を得ることになる。

ウェストウィンドブローズ(牡3)

S&E.クリスフォー厩舎管理馬(イギリス)
主な勝鞍、22年 プランスドランジュ賞(GⅢ)

父 テオフィロ
母父 マキャヴェリアン

日本人でも聞いたことのあるテオフィロの代表産駒は香港馬イグザルタントではないだろうか。

母父マキャヴェリアンということで、日本にも適性を示すようなルーツを持っていることから、馬場は乾いていた方がベターか。

前走は後方外側からよく伸びできたが、距離延長と相手一気強化は大いなる課題。

ウエストオーバー(牡3)

R.ベケット厩舎管理馬(イギリス)
主な勝鞍、22年 アイルランド・アイルランドダービー(GⅠ)

父 フランケル
母父 リアファン

アイルランドダービーを7馬身圧勝し、1人気で迎えた前走キングジョージKGⅥ&QESをかかり気味で先行し自滅のような形で大敗。

母系にロベルトを引くことからもフランス競馬よりもイギリス競馬が合うと思われるが、それ以前に、前走でかかった馬が直前まで鞍上が決まっていないというのはこれいかに…。

オネスト(牡3)

F.シャペ厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、22年 フランス・パリ大賞(GⅠ)

父 フランケル
母父 シーザスターズ

パリ大賞覇者でフランケル産駒の25頭目のGⅠウィナー。そのパリ大賞は最後方で控えて直線一気の競馬で快勝。

母父シーザスターズの凱旋門賞は、大きく前を行く2頭を捉えての快勝だったが、オネスト陣営はどういうレース展開を想定しているのか…。

グランドグローリー(牝6)

G.ビエトリーニ厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、21年 フランス・ジャンロマネ賞(GⅠ)

父 オリンピックグローリー
母父 デイラミ

記憶に新しい、昨年ジャパンカップの5着馬。

母系の奥に入るライトオブホープはディープインパクトの母父アルザオの全妹。父の母父にアルザオが入るためアルザオの3×3全兄妹クロス。母母父のマキャヴェリアンは芝の高速性能を引き出す種牡馬でヴィルシーナ、シュヴァルグラン姉弟の母父。

東京2400との親和性が高い直線が広くて長いフランス競馬。ディープインパクトもハーツクライもステイゴールドも、リスグラシューもフィエールマンも牝系はフランス。

というように、ジャパンカップでの活躍を非常に期待していた一頭。

フランス調教馬に対して、凱旋門賞は…という失礼なことを言うつもりはないが、将来は是非、繁殖牝馬として再来日してほしい。

シムカミル(牡3)

S.ワッテル厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、22年 フランス・ニエル賞(GⅡ)

父 タマユズ
母父 ピヴォタル

追加登録料が発生する立場だったが、どうやら凱旋門賞は回避してジャパンカップを視野に入れている模様。

シムカミルがニエル賞をどの程度の勝負度合いで挑んでいたのかは分からないながらも、あからさまな叩きのドウデュースが全くレースにならなかったように、その逆にあたる超高速馬場の東京2400ではレースにならないと思われるが、追加登録料よりも招待馬としてのコストメリットを冷静に判断しての事かと。

シリウェイ(牡4)

F.グラファール厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、21年 イギリス・チャンピオンステークス (GⅠ)

父 ガリウェイ
母父 ケンダルジャン

父ガリレイはガリレオにデインヒルというパッケージでフランケルと同系。母系は地元フランスの血脈。

誤解を恐れずにいうと昨年同様紛れもなく伏兵。

昨年は、地元フランスの有力馬インスウープもメアオーストラリスも故障で出走が叶わない中での出走だったが、今年は地元有力馬多数。

下馬評を覆す事ができるか。

トルカータータッソ(牡5)

M.ヴァイス厩舎管理馬(ドイツ)
主な勝鞍、21年 凱旋門賞(GⅠ)

父 アドラーフルーク
母父 トイルサム

言わずと知れた昨年の覇者。

父のアドラーフルークも、母の母父アカテナンゴも、その父ズルムーもドイツダービー馬と言うドイツの超良血馬。

後から冷静に考えれば、コテコテのドイツ馬は、競馬の質が近いフランス競馬では普通に押さえておくべき一頭だったと言える。

オッズ妙味が昨年より落ちることは明白で、馬券への組み込み方は一考の余地あり。

バブルギフト(牡4)

M.デルザングル厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、21年 フランス・ニエル賞(GⅡ)

父 ナサニエル
母父 グランドロッジ

父ナサニエルの代表産駒は泣く子も黙る最強牝馬エネイブル。天才と比較する気はないので割愛するが、ニエル賞からのローテは19年のソットサスに通ずるものがあるが、昨年は本番で全く歯が立たず、今年に至ってはニエル賞も落としている。

今年は斤量のアドバンテージもなくなる中でどう立ち回るのか。

ハリケーンレーン(牡4)

C.アップルビー厩舎管理馬(イギリス)
主な勝鞍、21年 フランス・パリ大賞(GⅠ)

父 フランケル
母父 シロッコ

大崩れがなく抜群の安定感を誇るが、約1年の休養明けの前走はキャリア初の8着大敗。

昨年の凱旋門賞は、GⅠ4連勝がかかる中で主戦のビュイックはアダイヤーを選択。アダイヤーのバーターとしての参戦になってしまったが、結果としてアダイヤーを上回る着順で回ってきたのは皮肉である。

血統背景としては、同じ父を持つ僚馬のアダイヤーに比べて母系が重厚で決してロンシャン向きではない。

重馬場のパリ大賞を6馬身圧勝、続くセントレジャーSを2馬身半快勝、昨年の重い馬場の凱旋門賞でアダイヤーを上回っていることも母系の重厚さを物語っている上に、そもそも昨年は雨予報を後押しに陣営が参戦を決断しており、今年も道悪で台頭する1頭という評価で良いだろう。

ベリーエレガント(牝7)

F.グラファール厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、22年 ニュージーランド・チッピングノートンステークス(GⅠ)

父 ゼダ
母父 ダンロード

2020/21シーズンのオーストラリア年度代表馬。最優秀中距離ばと最優秀長距離馬も同時受賞。オーストラリアで最も有名なレースと称されるメルボルンカップ(芝3200)を含むGⅠ 11勝を挙げている。

国内ではステイヤーの彼女のレース選択のプランが限られるとの理由からフランスに移籍。真相は知らないが、凱旋門賞を視野に入れて現地にフィットすべく移籍したのではないかと思われる。

デインヒルをクロスしているあたり、スプリント色の強いオセアニア競馬を物語っているが、欧州の競馬にどこまでフィットするか。ある意味、キャリア晩年のディアドラを見ている気分になる。

マレオーストラリス(牡5)

A.ファーブル厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、21年 フランス・ガネー賞(GⅠ)

父 オーストラリア
母父 レインボークエスト

昨年、ガネー勝を快勝し一躍凱旋門賞の有力馬に浮上したが、足首を痛めて無念の長期離脱。

復帰後は叩き3走目のシャンティイ大賞で復活勝利を飾るも、前走のサンクルー大賞は大敗。5走目の本番に期待したいが状態が気になる。

ファーブル厩舎といえば、19年に人気薄で激走したヴァルトガイズトもファーブル厩舎管理馬。出走時は毎年必ず馬券内に管理馬を送り込む地元フランスの名伯楽。ヴァルトガイストはガネー賞で立ち上げて叩き5戦目での凱旋門賞制覇であったが、レース選択こそ違えど同5戦目のマレオーストラリスもファーブルマジックが炸裂するか。

出走が叶う場合は思考停止で印を回したい。

メンドシーノ(牡4)

S.シュタインベルク厩舎管理馬(ドイツ)
主な勝鞍、22年 ドイツ・バーデン大賞(GⅠ)

父 アドラーフルーク
母父 ピヴォタル

アドラーフルーク産駒の同年バーデン大賞を勝った4歳ドイツ牡馬の参戦という意味で、昨年のトルカータータッソとイメージが重なる。

実際、トルカータータッソとは少なからず因縁のようなものがあり、主戦のR.ピーチュレク騎手はどちらの馬でも主戦をつとめており、凱旋門賞では契約の兼ね合いでメンドシーノを選択することになる。

ドイツとフランスの競馬はレースの質が近しいため、昨年のトルカータータッソよろしく軽視は禁物。

昨年に続くドイツ馬による番狂わせを演じられるか。

ラ パリジェンヌ(牝3)

C&Y.レルネール厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、22年 フランス・条件戦

父 ザラック
母父 ハリケーンラン

フランスオークスを人気薄ながら2着に善戦したが、主な勝鞍は条件戦のみで格落ちは否定できない。

そもそも出走自体不透明ではあるが、オーナーはアメリカ参戦も視野に入れつつ、直線の長い競馬の方が合うため凱旋門賞参戦の可能性を除外していないといった趣旨の発言をしている。

出走が叶う場合、3歳牝馬の斤量アドバンテージと地元フランスの利を最大限に活かすことができれば。

ラッソー(牡3)

JC.ルジェ厩舎管理馬(フランス)
主な勝鞍、22年 フランス・ヌレイエフ賞(リステッド)

父 アルマンゾル
母父 シンダー

ニエル賞を2着しているが、前哨戦の2着の価値は計りかねる…。GⅠは過去2回参戦しておりいずれも大敗。主な勝鞍はリステッドで流石に能力の絶対値に疑問を持たざるを得ない。

オーナー次第ではあるだろうが、ルジェ厩舎有力馬のサポート役か…。

ラプティットココ(牝4)

P.トゥーミー厩舎管理馬(アイルランド)
主な勝鞍、22年 アイルランド・プリティポリーステークス(GⅠ

父 ルーラーオブザワールド
母父 ケーニッヒスティーガー

天候次第ではアイリッシュチャンピオンSも視野に入れていたようだが、スルーして重馬場のブランドフォードSに参戦し、結果は5着に敗戦。

母系はドイツ色が濃く、決してフランス競馬が合わないとは思わないが、初のフランス競馬にどう対応するか。

ルクセンブル(牡3)

A.オブライエン厩舎管理馬(アイルランド)
主な勝鞍、22年 アイルランド・アイリッシュチャンピオンステークス(GⅠ)

父 キャメロット
母父 デインヒルダンサー

世界のオブライエン厩舎管理馬。ただし、近年のロンシャン開催の凱旋門賞では勝てないどころか馬券内すらないのは紛れもない事実である。

ガリレオもその直仔たちもそうであるように、起伏のきついイギリス競馬向きの馬の育成は世界のトップオブトップである事には一才の疑いはない。

父キャメロットもオブライエン厩舎管理馬で、12年の凱旋門賞で1人気に推されるも見せ場なく大敗。広くて長い直線の伸びを競うフランス競馬とは育成の方向性が違って当然なのだろう。

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