血統から競馬を考える

血統から競馬を考える 中央競馬
血統から競馬を考える
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日本競馬とサンデーサイレンス」でも触れたように、日本の競馬界では、日本ダービーを勝つために競走馬を生産している。3歳の春に東京競馬場の芝2400mを誰よりも速く駆け抜けてダービー馬、ダービージョッキー、ダービートレーナー、ダービーオーナーの称号を獲得する事が日本競馬最大の栄誉である。

血統予想の根幹

日本ダービーに対してどういう位置付けにいる馬なのか?
これが、血統予想の根幹である。

主流と反主流

日本競馬には、日本ダービーで勝てるかどうかという観点で、主流と反主流の大きく2つの血統グループが存在する。

大雑把に捉えると、

  • 主流血統(サンデーサイレンス系とキングマンボ系)
  • 反主流血統(その他の血統)

という風に分類できる。

どういう事かというと、近年の日本ダービーの勝ち馬は、サンデーサイレンス系とキングマンボ系からしか出ていない。この2系統は東京競馬場の上がり勝負にめっぽう強い馬を出しやすいが、ノーザンファームを中心とした生産牧場では、ダービー戴冠に向けて特にこの2系統に重きを置いて競走馬を生産している。そのため、より一層、この2系統の東京競馬場適正にバイアスがかかるという仕組みである。

少し視点を変えると、血統と同様に馬場にも主流と反主流が存在する。

  • 主流馬場(芝の良馬場根幹距離)
  • 反主流馬場(芝の良馬場以外、または非根幹距離)

米国にルーツを持つ馬の多くは、硬い路盤の高速馬場に適正を示す事が多く、主流馬場で能力を発揮するケースが多い。一方で、欧州にルーツのあるの馬多くは、重たい馬場や力のいる馬場を得意にしているため、反主流馬場で能力を発揮するケースが多い。

芝のレースの場合、主流血統の馬が主流馬場を走るケースが最も人気を裏切りづらく、ひるがえって、反主流血統の馬が反主流馬場を走るケースでは人気に反して大激走する事がある。

注釈)父も母父も米国型の場合、芝のレースでは日本の高速馬場に対してスピードの絶対値が足りずに凡走してしまう事が多く、父方にサンデー系・母方に米国型の血を引くパターンが近代日本競馬の主流血統である。

血統の基礎

血統について考える際、

  • どの種牡馬の産駒なのか?
  • どの繁殖牝馬の産駒なのか?
  • 5世代血統表の中の各種ルーツは?
  • どういうクロスを持っているのか?

という事も、もちろん大事である。

ただ、それは、ここまでに取り上げた

 ①主流血統か?
 ②反主流血統か?

日本競馬の場合、サンデー系やキングマンボ系か、或いは、それ以外か?

 ③ルーツは米国か?
 ④ルーツは欧州か?

乾いた馬場に強く仕上がりの早さに定評のある米国型なのか、それとも緩い馬場や力のある馬場に強く叩き良化型の欧州型なのか?

 ⑤主流馬場か?
 ⑥反主流馬場か?

レース距離は主流血統が能力を発揮しやすい根幹距離の主流馬場なのか、それとも非主流血統が能力を発揮しやすい非根幹距離の反主流馬場なのか?

或いは、主流血統に有利な乾いた主流馬場なのか、それとも反主流血統に有利な湿って重たい反主流馬場なのか?

などなど、上記①~⑥を、基礎知識としてキッチリ把握して整理できている事が大前提である。

具体例として、距離こそ違えど、同じ東京競馬場で開催された2レースを取り上げてみる。

20年10月の不良馬場で開催されたサウジアラビアRC。東京芝1600mでの競走なので根幹距離ではあるが、降雨による不良馬場開催のため反主流馬場でのレースであった。

勝ち馬はバゴ産駒のステラヴェローチェ。緩い馬場でスピードを落とさずに駆け抜ける事で淘汰されてきた欧州にルーツを持つ反主流血統。

同レースで上位人気に支持されていたドゥラメンテ産駒のキングストンボーイはキングマンボ系の主流血統。加えて母方に入る米国型の血は乾いた馬場に適正を示しやすいルーツを持つ。

雨の反主流馬場を味方につけた反主流血統のステラヴェローチェが圧勝し、上位人気に支持された主流血統のキングストンボーイは人気を裏切る結果になった。

21年5月の良馬場で開催された日本ダービー。日本競馬の頂点にして根幹距離で開催されるの最高峰のレースで、良馬場開催のため言わずもがな主流馬場である。

伏兵ながらダービー馬の称号を獲得したのは、ディープインパクト産駒のシャフリヤールで主流血統。加えて、母方には乾いた馬場に適正を示しやすい米国型をルーツにもつ。

惜しくも差のない2着に敗れたエフフォーリアは父方にも母方にもサンデーサイレンスの血を引く主流血統。

3着馬は、反主流馬場のサウジアラビアRCを3馬身以上突き放して勝利した反主流血統のステラヴェローチェ。反主流馬場では圧勝する事ができたが、主流馬場で能力全開の主流血統には歯が立たなかったと捉える事ができる。

このように、①〜⑥を分解して組み立てる事で、詳細に種牡馬や繁殖牝馬の名前や特徴を知らなくても、大雑把にルーツとその特徴を理解していれば、レース毎の勝ち馬を分類する事ができる。

このページでは、主に芝のレースに対しての考え方を中心に言及してきたが、ダート競走についての考え方は別ページ(血統とダート予想)であらためて。

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